心のなかを掻き乱されたようで、言葉一つでこんなにも全身から力が抜けていく。

今まで何人もの人が過去を変えたいと星に願ってきたのだろう。その願いを星はいくつ叶えてきたのだろう。
僕らは決して戻れないし、年を重ねるごとに固められてしまう歪さに苦しむと分かっていても尚、前進を止められない。

過去を変えたいのは何故?

どうしてこんなにも言葉にがんじがらめになっているのだろう。まるで楽譜みたいじゃないか。これは音階か何かか?

もう本当に、君と僕は出会わなければ良かったよ。こんなにも苦しい想いを背負わされるぐらいなら最初から無かったことにしよう。無駄な足掻きだと分かっているけど、今夜だけは星に願わせてほしい。


もし叶ったらもうこの恋は終わりにしよう。そうしたら僕はもう夜を寂しく感じなくなるはずだし、風呂場で咽び泣くこともなくなるし、湯船に潜って叫ぶこともなくなる。君に毎日殺される心配もしなくていいし、何より傷つくことがない。

みんなみんな変わっていく。ただ変わらないのは夜空に浮かぶ月と星だけだ。女の子の気持ちを代弁するような歌は死んでほしい。救われたような気になっている一時の心の揺るぎを許容した星も死んでほしい。いやもう死んでいるのかな。だからあんなにも美しく光っているのかな。

星に願い事をしている僕を大人たちは馬鹿にしていた。そんな何億光年っていう気の遠くなる存在に何を打ち明けようか。そんな無駄なことをするならもっと他に考えることがあるでしょう。ちゃんとしなさい。きちんとしなさい。そんな台詞で僕らを丸め込んだ気になっている彼らは、本当はきっと昔は星とお話していたはずなのに。僕もいつか彼らのような存在に変わるのかな。そして星に願い事をしている奴を丸め込む役割が回ってくるのかな。

君もいつか大人になってしまうのかい?